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外注加工パーツが届いた!

R.A.F.(Royal Air Force / 英国空軍)の航空機に搭載されていた とされるビオゴンをバラし、
設計をフィックスして加工屋に発注した というのを前の記事に書いた。

それがとうとう、やっと、遂に手元に届いたのである!(ヒャッホィ)
随分かかったが、別に加工屋さんがサボっていた訳ではない。
そこは自動車レース用パーツの加工が本業であって、土曜の予選で壊れたパーツを日曜の決勝
までに間に合わせてくれるようなファクトリーなのだ。
当然、ワタシのような味噌っカスは 「いつでもいいですぅ」 と言って頼むべきものである。

とまぁ前置きが長いんですが、今回のお題は単に完成パーツを見て頂こう の巻です。

先ずボディ本体。 フィルムバックを固定し、蛇腹のリンクをマウントするのが主な役割。
上が表側から、下が裏側から。 下辺には三脚穴、裏には遮光モルトプレンを収める溝が見える。
アルミ合金(A2017-T4)インゴットからの総削り出し。 黒いのは硬質アルマイトのせい。
外注加工パーツが届いた!_e0133566_1854268.jpg

次にレンズマウント。 レンズユニットを固定し、蛇腹のリンクをマウントし、蛇腹が接着される。
左が表で、四角い凹みにレンズボードが収まり、レンズ交換に対応する。
同じくアルミ合金 削り出し+硬質アルマイト。
外注加工パーツが届いた!_e0133566_162387.jpg

次はビオゴン 38mmの前玉をコンパーシャッターにマウントするアダプタ。
平均肉厚が1mmしかとれず、アルミや真鍮では強度不足なのでクロム・モリブデン鋼(SCM435)
に更にガス軟窒化処理を施している。 今回一番設計に苦労した部分。
外注加工パーツが届いた!_e0133566_187240.jpg

最後に後ろ玉をシャッターにマウントするアダプタ。 これは強度的余裕があるのでアルミ合金。
スケール感がメチャクチャでスミマセン ^^;;
外注加工パーツが届いた!_e0133566_1871870.jpg

で、よせばいいのに辛抱たまらず超~暫定仮組みw
ビオゴン38mmはまだ加工用のマスキングを外せないので、SuperAngulon 38mm f5.6 XL
で代用。 下敷になっているのは蛇腹製作用に用意したヤンピー(革)。
外注加工パーツが届いた!_e0133566_1855151.jpg

今後の予定として、蛇腹のリンクや各ピボット、フィルムバック脱着用レバーなどの作り込みがある。
またもや職場の旋盤・フライスを借り、金属加工に約2人日。
その後チマチマ蛇腹を折ってボディへ接着。 最後はピントグラスで距離指標のケガキを入れて了。

今週は手がとれないので、来週以降に本格組立が出来るといいな~~ といったところであります。
# by stonemute | 2012-03-15 19:11 | ビオゴン 67

機械(カメラ)設計手法アレコレ

タイトル通り、何か物を造りたいと考えた時にどうすれば良いか考えてみる。

と言うのも、Twitterで試みに"3D CAD"を検索してみたところ、延々と英語圏のツイートが続き
最初の2バイト文字はアラビア語 Orz 
どこまで行っても日本語は皆無。 こりゃ~マズいよなぁ… と思ったのだ。

そりゃ~機械設計の素養が無い人には厳しいけど、少し設計を知っていれば自分オリジナルの
部品を造るってそんな難しくないよ~~ と言いたい。

普通、造りたい の前に物欲があると思うので先ずは物欲マインドマップ ↓ w
機械(カメラ)設計手法アレコレ_e0133566_13122037.jpg
色々端折ったところはあるが、まぁこんな感じ。
私がここのところカメラの物欲で辿るのは、一番上か二番目 ^^; か一番下のラインだ。

お題の「造る」で見ると現物合わせからマンガ、図面描いて とどれを取っても楽しい。

自分の職歴を振り返ると、バイクのピストンを車のエンジンに組んだり、トヨタのバルブをロータスの
エンジンに突っ込んだり と現物合わせも多かった。

図面描きでは、学生時代はCADのキャすら知らず鉛筆、コンパス、ドラフターの手書きを習った。
職を得て、レーシングカーの車体設計やらエンジン部品の新設計やらもズ~~っと手描き。
一応メーカー系のモータースポーツ会社だったんだが、それでもCAD化というのは敷居が高かった
のである。

2DのCADに触ったのがやっと2000年頃、3Dになったのはカメラ造りからだから2009年だ。

なぜそんなに敷居が高いのか? それは簡単で、昔も今もCADというのは大層高額なモノなのだ。

2D-CADで鉄板といえばAutoCADだろうが、今だに何十万という導入コストがかかる。
3D-CADになると100万~上は天井知らずである。

そんな中で2000年から2D-CADに触れるようになったのは、優れたフリーCADが出てきたお陰
だった。

幾つかあると思うが、私が愛用したのが鍋テックさんの鍋CAD

機械(カメラ)設計手法アレコレ_e0133566_14443748.jpg地味な名前だが使いやすい。

もうコレだけで手描き時代には
帰れなくなるほど作業効率は上がる。

ただ、手描き図面の下手な人は
2D-CADでも下手 という落とし
穴があるのは銘記したい。

このCADでしばらく売り物の自動車部品など造っていたが、趣味でカメラを造りたい と思った時に
俄然3D-CADを触りたくなり、2Dで味をシメたフリー版を探す事にした。

ここでも個人ベースのソフトウェアは幾つかあり早速試してみたのだが、残念ながら今に至るまで
実用になるものに出会えていない。

あとは、プロ用高級CADの試用版やプロモーション用として機能制限がかかったモノが存在する。
各社の戦略的な思惑で、飛び上がるくらい好条件でリリースされたと思って飛びついたらハシゴ
外されたり、イイ線なんだが肝心の機能を削られていたりとナカナカ厳しい。

只今現在で候補になりそうなのを挙げると、
Creo Elements/Direct Modeling Express 4.0
機械(カメラ)設計手法アレコレ_e0133566_15475376.jpgPro-Eで有名なPTC社が提供し、
製品版も存在する。
と、言うかPro-Eが消滅しCreo
というラインに統一されたようだ。

私自身は使い込んでいないが、
充分なモデリングが可能だろう。

ただ、出力できるファイル形式が
STLとVRMLだけでは実用するに
チト苦しい。

Autodesk 123D
機械(カメラ)設計手法アレコレ_e0133566_16133953.jpgAutoCadで有名なAutodesk社
が提供し、製品版は無いという
ユニークなCAD。

その操作系も大変にユニークで、
旧来のお作法に慣れ過ぎていると
面食らうだろう。

サイトの構成からも、文化として
3Dを根付かせようとする意気を
感じられて期待大だ。
出力形式もIGESとSTEPをサポートしており、CNC加工にも充分だろう。
ただ、残念ながら非常に重い。
シングルコアでメモリ2Gbの現有XPノートでは全く歯が立たない重さ。 デュアルコアなら動くのか?

AlibreDesign
機械(カメラ)設計手法アレコレ_e0133566_17431694.jpg現在私が使っているCAD。
操作系が経験のあるSolidWorks
にソックリで個人的に楽なのだ。

かつてXpress版は無償であった
が、今や有償になってしまった。
Xpressでは出力形式も心許ない。

まぁStandard版を買えれば充分
だし、9万円というのも機能を考え
れば破格ではある。

ついでに言うと、体験版を入れて1ヶ月はProfessional版のフル機能が… ゴニョゴニョ ^^;


と、ダラダラと書き連ねてきたが、設計が出来たところで物が出来てこないと何の役にも立たない。
モチロン自分で加工するにしても図面があると役に立つのだが、本来図面というのは他人に設計
意図を伝達するためのモノだ。

私は過去の付き合いから、自動車レース用部品を専門にしている加工屋さんにお願いし、格安で
削ってもらっている。 3DモデルをIGESに出力してメールで投げるだけで完璧な物が出来てくる。

他にも探せばこんな業者さんも見つかる。
ここは、サイトから3Dモデルをアップロードすると半日くらいで見積りが返ってきて、加工上問題が
ある設計箇所には適切な対案まで出してくれる。 コストも決して高くはないと思う。


人様が造った物を買ってきて使うのも楽しいけど、自分で考え自分で造った物には格別の愛着を
持てるし、カメラのような創作機械にはソレが良い影響をもたらすんじゃないか と思うんだよね。
---
# by stonemute | 2012-02-17 11:38 | 機械設計

R.A.F. ビオゴン 分解~ボディ設計

R.A.F.(Royal Air Force / 英国空軍)の航空機に搭載されていた とされるビオゴン
がUKより届き、手持ちの工具でバラせるところはバラした というのを前の記事に書いた。

その後、ゴツいアウターケースからレンズ本体を取り出すべく専用工具を買ったり、
締め付けネジ部にトルエン攻撃をかけたりして色々と自宅で頑張ったが駄目だった。

周辺のボルトを外す時から分かってはいたのだが、ネジというネジに漏れなく接着剤が
入れてあり、元より分解することは考えていない作りなのが伺える。

こうなったら外周部から削り込んで外すしかない と職場の旋盤を借りて成敗してやった。

R.A.F. ビオゴン 分解~ボディ設計_e0133566_15454541.jpg

昔とった杵柄、固着した 又は折れたネジを外す作業は嫌っ!てほどやってきた。
どんなに固いネジでも、外周の肉を削って剛性を落とされると緩むものだ。

今回もコレこの通り ^^ ↓

R.A.F. ビオゴン 分解~ボディ設計_e0133566_1543192.jpg

中央左が前玉、右が後ろ玉、その後ろは今回組み込む予定の Sinchro-Compur #0
シャッター。 手前は、完成の暁にボディにエンブレムとして付けようと削り残した
ブロード・アロー入り銘板。 その周りは外したアウターシェルの残滓。

以前の記事ではコパルの0番シャッターに組み込むように書いていたが、外したレンズ
をよくよく採寸してみるとコンパーじゃないと成り立たないと判明。
非常に微妙な内部寸法の違いにより、コパルは諦めざるを得なかった。

コンパーでも組み込みは極めて際どい。
通常、後ろ玉はシャッター後部の雌ネジに締め込むものなのだが、後ろ玉の中玉と干渉
して不可能である。
仕方なく、通常はレンズボードに締め込むための雄ネジを利用してアダプタを設計して
いる。 (下図 中央がシャッター、右側が後ろ玉、金色パーツがアダプタ)

R.A.F. ビオゴン 分解~ボディ設計_e0133566_15535518.jpg

前玉はもっと厳しい。 もう嫌になるほど何もかもがギリギリである。(上図 左側)
軸方向の寸法を、レンズで0.5mm、シャッターでも0.5mm追い込んでやっと成立。
シャッター本体の前玉取り付けネジを追い込むなんて、ゾッとしないがやるしか無い。

アダプタの断面形状も非常に複雑かつ薄い。
ジュラルミンじゃとてもじゃないが待たず、SCM435鋼をガス軟窒化処理してかわす。

R.A.F. ビオゴン 分解~ボディ設計_e0133566_1614345.jpg

ソンなコンなでヤットコサ設計完了。 ↑

3D-PDF を作ったので、グリグリ動かして遊んでみて欲しい。
PDF をローカルPCに落とし、画像をクリックして少し待つと3Dモデルが活性化する。
カメラをドラッグすると3Dモデルがクルクル動きます。
フィルムバックの固定レバーは起こしてあり、フィルムバックは装着寸前の斜め位置、
レンズボードも浮いた状態でモデリングしてあります。

今回、現有の Schneider SuperAngulon 47mm f5.6 MC と同 38mm f5.6 XL、
それに ZEISS Biogon 38mm f4.5 の3種類を同じボディに積めるようにした。
SuperAngulon では 6x9、Biogon では 6x7 のフィルムバックを使う。

蛇腹のストロークを相当大きくとったので、最近接は 30cm くらいまで楽に寄れる。
無限遠ストッパーと距離指標も、レンズによって交換して使う。(レンズボード左上)

リンクのバックラッシ(ガタ)をキャンセルするためのトーションスプリングや、結構特殊
な形状のボルト類も収集できた。
CNCマシニングするための3Dデータも加工業者にブン投げた。

全ての加工が上がってくるのを待ち遠しく過ごす早春である。 ^^
---
# by stonemute | 2012-02-03 18:46 | ビオゴン 67

R.A.F. Biogon 到着!

R.A.F.(Royal Air Force / 英国空軍)の航空機に搭載されていた とされるビオゴン
がUKより届いた。 このレンズの来歴やら行く末は前の記事に書いた。

二個あるが、一個は知り合いの方が引き取って下さる予定。 ^^
R.A.F. Biogon 到着!_e0133566_16503512.jpg

R.A.F.制式装備の証である Broad Arrow(右下ユニットの上向き矢印)も凛々しい。
まぁ戦闘機に積まれていた って事は兵器であるのだが、こーゆー細部に萌えるのが
男の子の性 とお目こぼし願いたい。

今日のところは、手持ちの工具でバラせるところまでバラしましたよ~ という記事。
R.A.F. Biogon 到着!_e0133566_17181335.jpg

上段左:レンズ後群 右:レンズ前群
下段左:電磁シャッター 右:絞り

六角穴付きボルトを多用しているが、タチの悪いことに全部インチネジである。
航空機用だけあって、全てのネジ山には緩み止め剤が入っていて緩まない緩まない。

ここで疑問が湧く。
UKは随分前からSI単位系の筈で、自動車などのネジ類もミリ系列が浸透している。
レンズメーカーのZEISSだってドイツであるから、これはもう大昔からミリ系列。

何故にR.A.F.制式はインチ系列? UKマブダチのメリケンMILスペックに準拠すると
インチにされちゃうのか? 謎である。

これ以上の分解は、ちゃんとしたレンズ専用工具が無いと無理なようだ。
想像だが、写真のように真ん中で割らなくても、前群・後群はユニットで外から抜き
出せる構造じゃないか と思っている。

もう一段バラせれば、コパル0番に組み込むのは楽勝な気がしてきた。
新宿に出て工具買ってこなくちゃ~~ ^^
---
# by stonemute | 2012-01-20 17:44 | ビオゴン 67

Biogon 6x7 キックオフ!

嗚呼 ビオゴン 38mm f/4.5...
ハッセルブラッド SWC が紡ぎ出す画を見てしまった日から入手を夢見、海外オークション
(eBay)などを徘徊してはその価格に嘆息する日々。 あれは5年も前か。

一念発起して、暗箱付きレンズなるコンセプトだけ拝借した自作機を造り上げてからも
2年半近い。

壱号機(作例等): Schneider Super-Angulon 47mm f5.6 MC を積んだ6X9カメラ
Biogon 6x7 キックオフ!_e0133566_18135474.jpg

弐号機(作例等): MAMIYA SEKOR C 35mm 1:3.5 N を積んだ6x6カメラ
Biogon 6x7 キックオフ!_e0133566_18204917.jpg

そして昨夜遅く、遂に我が垂涎のビオゴンを入手することが叶った! しかも2個!! ^^;

コレ ↓ がそのレンズ。 (eBay のセラーがアップした画像のパクリ)
Biogon 6x7 キックオフ!_e0133566_14271329.jpg

Biogon 6x7 キックオフ!_e0133566_14275356.jpg

ん? カメラのレンズに見えない? それはそーである。
これは RAF(ローヤル・エア・フォース/英空軍)の AGI F135 Stereo mapping
camera というユニットに積まれていたものだ。 (ココとかココとかココ
様々な空軍機に積まれたようだが、Harrier, Jaguar, F4 Phantom, Nimrod などが
主だったところらしい。

イメージサークルは84mmで、6x7 をカバーする。

このレンズは見ての通り、仰々しく突き出したソレノイドによってシャッターを電磁的に
駆動している。
それを、電子回路まで組んでそのまま動かしてしまった凄い先人も居られる。

ただソレノイドは概して重いし、電池が入ったカメラは私の性に合わない。 ^^;;
ここは何としてもコパルの0番シャッター辺りに組み込む事としたい。

壱号機で後ろ玉のデカいこの手の超広角レンズが収まるヘリコイド探しに疲れた。
今回はフォーカシングと沈胴を蛇腹に担わせた機体にしよう。
下図は Super-Angulon 38mm f5.6 XL 用に設計したものだが、ビオゴンでも概ね
同じデザインになるだろう。 いっそ共用できるようにするか? ^^

Biogon 6x7 キックオフ!_e0133566_18491438.jpg

まだUKを発ってもいないレンズだが、到着したらまた拙ブログでご紹介したい。
---
# by stonemute | 2012-01-10 18:50 | ビオゴン 67


そして さらに遥か遠く、まだ見ぬシャングリラへ。


by stonemute

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